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夜の10時頃パパの携帯に電話が入った。いつもの様にベランダへ出る。
しかしいつもと違う、緊迫しているみたい。声を荒げて話している様子が伺える。
電話を2~3度かかってきたり掛けたりを繰り返している。

部屋の中へ入ってきて「女性を助けに今から出かけて行っていいか?」という。
私もただならぬ状況に思わず「いいよ、だめと言ったって行くんでしょ?」と答えていた。
パパは「ありがとう、ごめんね」と行って出て行ってしまった。

これが夫婦にとって不穏の幕開けになるとはこのとき考えてもみなかった。

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年末、忙しいながらもささやかな連続休暇。
こども達もいっしょにパパとママも休みだと喜んでくれている。

しかし、パパはというともう2時間も長電話。
切れて少しするとメールが来てやり取り、そしてまた長電話。

私もこども達もこれにはうんざり。

相手が予想できるだけに我慢の限界。私も態度に出てしまう。
そして夜問い詰めた。

彼女の子どもが堕りたという、仕事をさせていてなので責任を感じているという。
すごく驚いたが、彼女も3児の母。パパの責任ではないと私は思った。
しかし、パパは哀しくて眠れない日々が続いていると告白した。

私もそのときは同情したのだが、これが新たな疑惑のはじまりだった。

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パパは未だに立ち直れないらしい。

でも別な見方をすれば、他人の子どものことでこんなにも悲しみつづけられるのだろうか。

もしかして・・・・彼女を助けに行った頃から夜中に帰ってくるようになった。
もしかして・・・・彼女が仕事に来るようになってメールと電話はすごく頻繁だ。
もしかして・・・・彼女は夜間仕事の時にもきているらしい。
         彼女はパパと同じく霊感がとても強いらしい。
         彼女はだんな様と不仲らしい。
         その相談相手はパパらしい。
              
えっ堕りた子は・・・まさか・・・そんな人じゃない・・・でも・・・・

疑惑が芽吹いたら止まらなくなった。



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